春の七草
−せり、なずな、ごぎょう(ハハコグサ)、はこべら(コハコベ)、ほとけのざ(コオニタビラコ)、すずな(カブ)、すずしろ(ダイコン)−
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春の七草は1月7日に七草をいれた粥を食べるという習慣に基づいている。ただし、本来は旧暦の1月7日であるので、年によって違うが1月の終わり頃から2月の後半にかけての季節であることになる。新暦の1月7日には七草を集めるにはちょっと時期が早い。しかし、正月におせち料理など、食べ過ぎてちょうど胃腸が疲れている頃で、新暦の1月7日に粥を食べるのはちょうどいいタイミングかもしれない。 |
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春の七草の1つでありるせりは、鍋物にはお馴染みである。日本全国、朝鮮、中国、台湾、マレーシアなどにも広く分布する多年生草本。湿地や田圃周辺の水路などに生育し、高さ50cmを越えるが、食べるのは高さ20cmほどになったときである。 和名のセリは、競り合うの「競り」であるとの説がある。下の画像は、冬の放棄水田で生育している状況であるが、確かに競り合って生長していると言われれば、そのようにも感じられる。秋に地下茎から芽を出して生長し、早春には食べ頃になる。夏には茎が高くなって頂端に白い花を咲かせる。 |
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ナズナは畑や水田、道端、荒れ地などに普通に見られる1年生の草本。七草粥の摘菜とされる。科としては菜っ葉の仲間なので、冬季の野草としては昔は貴重なものであったであろう。 秋に芽生え、冬はロゼットで越冬し、早春から開花をはじめる。花は次々に花を咲かせる無限花序であり、下の方は果実が形成されているが、先端部では次々とつぼみを形成して開花する。このような開花・結実の形式は、確実に種子形成を行い、余裕があれば更にたくさんの種子を形成しようとする戦略であり、畑のような不安定な立地に生育するには適した方法である。小生の出身校の生物部OB会の名称は「なずな会」である。すでに結実した果実と今から花開かんとするつぼみが1つの茎に連なっている状況を先輩と後輩の連携に例えたものである。 ナズナはペンペングサとも呼ばれる。果実の形が三味線のバチに似ているためという。よく稔った花茎を取り、果実を注意深く下向きに引っ張って茎と果柄を少し剥がして振るとシャラシャラと音がする。昔は春の田圃でよく遊んだものであるが、そんな習慣も失われてしまった |
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ハハコグサは春の田圃でお馴染みの植物であり、日本全国に分布する。秋に芽生えてロゼットで越冬し、春に茎をもたげて花を咲かせる、越年性の1年草である。全体に白いクモ毛が多い。御形(おぎょう)の名で登場する。ハハコグサという和名は、母子草と書きたくなるが、古い呼び名はホウコグサあるいはオ(ゴ)ギョウであり違うわけである。毛が多い状態あるいは毛を持った種子が形成される状態を「ほほけ立つ」と呼んで、ホホケグサがなまったという説は、納得しやすい。史前帰化植物の1つでムギ類の栽培とともに伝来した。 |
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コオニタビラコは本州から九州、朝鮮半島に生育する越年性の1年草本。水田や畦道などに生育する。和名は小鬼田平子であり、タビラコとも呼ばれ、春の七草ではホトケノザとして登場する。 葉は羽状に分裂し、ほとんど無毛で柔らかい。春に咲かせる花は7〜8つあり、すべて花弁が伸びた舌状花である。水田の管理形態が変化してきたためか、コオニタビラコをあまり見かけなくなった。春の七草シリーズとしては、もっとも最後のアップとなってしまった。この画像は管理休耕田に群生していたものである。 |
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春の七草の1つであるはこべはコハコベである。コハコベは史前帰化植物の1つで、ムギ類の栽培とともに渡来した(大正時代にヨーロッパから渡来したしたとする意見もある)。ハコベは、秋に芽生え、早春から花開き、夏も開花していることがある。道端や畑に普通に生えている、柔らかい一年生草本。 葉は1cmほどで、茎は普通紫色を帯びる。下側に毛が列をなして生えている。このような列毛はこの仲間によくみられ、おもしろい。茎が地面に付きたくないのか、それとも他の植物体の上を覆って成長する際に滑りをよくするためか・・・などと考えてしまう。 コハコベはミドリハコベとよく似ている。ミドリハコベは茎の色が通常、名前の通り緑色であることと、雄しべの数がコハコベは3〜5本であるのに比べ、ミドリハコベは8〜10本である点などで区別される。 |
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カブはヨーロッパ大陸原産の栽培植物で、日本には中国から渡来した。鈴菜(すずな)の名前で登場する。カブ(蕪)は頭の意味で、根が頭状の塊になるとの意味だそうである。 根を食べるので、ダイコンと近縁かと思えば属が違う。アカカブ、シャクシナ(タイサイ)、ミズナ、ノザワナ、ヒロシマナ、ハクサイ、パクチョイ、チンゲンサイなどと同じ種であり、様々な栽培種に改良されている。根を食べるように改良されたものがカブであり、葉を食べるように改良されたものの代表がハクサイであることになる。品種改良には長い年月が必要であったと思われるが、人類の食への欲求の高さが感じられる。 大根にに近いイメージがあり、花の色も白かと思っていたが、咲いた花は見事な「菜の花」であった。 |
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地中海沿岸原産の作物で、この地域ではギリシャ・ローマ時代から重要な作物とされてきた。アポロの神殿に供物として捧げられたとのことで、扱いは最上級であったのであろう(ギリシャやローマの戦士達がダイコンの煮付けを食べている情景は想像しにくいが)。日本にも古くから渡来しており、日本書紀(720年)にも登場しているという。「おおね」の呼び名に漢字を当てて「大根」となり、ダイコンと呼ぶようになったという。 ダイコンにも様々な品種があり、最も大きい物は桜島大根であり、直径30cm以上にもなる。長さは守口大根が横綱であり、長さ1.7m以上にもなることがあるという。漬け物に利用されるものは上部から下部まで同じ程度に漬かる円柱形であることが好ましい。 店頭には大根が絶えることがない。本来は秋に芽生え、春に菜の花を咲かせる種であるが、品種改良されて年中生産されている。しかしながら夏の暑さには弱いので、「みの早生」などの夏大根は気温の低い高原などで生産される。岡山県の蒜山地方は夏大根の生産地として有名である。 大根の花を見ることは少ないが、収穫せずに放置しておくと立派な菜の花が咲く。この画像のように白色のものとピンクを帯びたものや黄色を帯びたものがある。花芽ができると大根そのものは食用に適さなくなってしまう。本来は夜の長さが一定値よりも短くなると花芽を形成する長日植物であるが、夏ダイコンは日長への感受性が低い系統を選抜したのであろう。高冷地で栽培する場合にも、時として天候などのために花芽が形成されてしまうことがあり、大きな損害となる。 |